作業着とヘルメットは必ず着用すべき?
建設業や物流業などでは、作業着とヘルメットを着用して作業を行うことが一般的です。
とはいえ、ご自身の業種や業務で本当に着用が必要なのか、疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
今回は、作業着とヘルメットの着用は必須なのか、法律や実務の観点から解説します。
作業着の目的
作業着を着用する目的は、安全性を確保し、作業効率を向上させることにあります。
たとえば建設現場では、衣類の装飾が機械などに引っかかると、思わぬ事故やケガの原因になります。そのため、ファスナーを使わない、または隠すような設計がされています。
さらに、作業に必要な道具(定規・ハンマー・ペンなど)を収納できるポケットなども備えられており、現場での作業性を高めています。
このように、作業着は業務の安全性と効率性を両立させるために重要な役割を果たしています。
ヘルメットの目的
ヘルメット(保護帽)は、落下物や飛来物、あるいは転倒・墜落による頭部への衝撃から身を守るために着用します。
作業着と異なり、業務効率を上げることが主目的ではなく、安全確保に特化した装備です。
電気作業のように感電のリスクがある現場では、通気孔のない耐電性ヘルメット(JIS規格適合品)の着用が求められる場合もあります。
作業着・ヘルメットの着用は法律で義務付けられている
作業内容によっては、作業着やヘルメットの着用が労働安全衛生規則により義務付けられています。
保護帽(ヘルメット)の着用義務がある作業
(労働安全衛生規則 第518条 など)
- クレーンなどによる積み下ろし作業(5トン以上の運搬機器を使用)
- 型枠支保工(かたわくしほこう)の組立作業
- 掘削作業
- 採石作業
- 高所での活線(通電中)作業
作業服の着用義務について
(労働安全衛生規則 第110条)
事業者は、動力により駆動される機械に作業中の労働者の頭髪や被服が巻き込まれるおそれがある場合、適切な作業帽または作業服を労働者に着用させなければならない。
すべての作業において一律に義務があるわけではありませんが、機械巻き込みや墜落などのリスクがある作業においては、法的に着用が義務付けられています。
会社が定めている場合も着用は必須
法律に加えて、会社の規則や就業規則により作業着・ヘルメットの着用が義務付けられている場合もあります。
(労働安全衛生規則 第115条)
労働者は、事業者から作業帽または作業服の着用を命じられたときは、これを着用しなければならない。
そのため、法律上の義務があるかどうかにかかわらず、会社の方針として定められている場合には従う必要があります。
作業着とヘルメットは目的を理解して正しく着用しよう
作業着とヘルメットは、安全に業務を遂行するために欠かせない装備です。
業務の性質や職場の規定によっては、着用が法律や社内規定で義務づけられていることもあります。
事故や災害を未然に防ぐためにも、目的をしっかり理解した上で、正しい装着方法で使用することが大切です。