「熱中症対策で従業員に飲み物を支給したら、その費用は経費にできる?」「勘定科目は何を使えばいい?」——2025年6月からの熱中症対策義務化以降、こうした疑問を持つ経理担当者・事業主の方が増えています。
結論から言うと、条件を満たせば熱中症対策の飲み物代は経費計上が可能です。この記事では経費にできる条件と勘定科目、個人事業主の場合の注意点、経費にならないケース、おすすめの熱中症対策の飲み物までまとめて解説します。
熱中症対策の経費として認められる飲み物支給の条件

従業員への飲み物支給は、すべてが経費として認められるわけではなく、あくまで業務上必要と認められる環境であることが前提です。
たとえば、炎天下での建設現場、工場内の高温作業、屋外イベント会場など、熱中症リスクが高い環境で支給される場合には、福利厚生費として経費計上ができます。
経費として認められやすくするポイントは、次の2つです。
- 特定の個人だけでなく、従業員全員または条件を満たす従業員への一律支給であること
- 社会通念上、業務に必要な範囲の金額・頻度であること(高級な飲料を毎日大量に支給する等は対象外になりやすい)
個人事業主・一人親方の場合の注意点
福利厚生費は「従業員のための支出」が前提の勘定科目のため、従業員を雇用していない個人事業主・一人親方が自分自身の飲み物代を福利厚生費にすることはできません。
ただし、業務中の熱中症対策として必要な飲み物であれば、消耗品費や雑費など別の勘定科目で必要経費に計上できる場合があります。従業員を雇っている場合は、その従業員分についてはこれまでどおり福利厚生費の対象です。
>>【関連記事】熱中症対策の費用は経費になる?個人事業主の勘定科目と注意点を解説
熱中症対策の飲み物代の勘定科目は?
熱中症対策の飲み物代を経費計上する際に使う勘定科目は、主に以下のとおりです。
- 福利厚生費:従業員全員(または条件を満たす従業員)へ一律支給する場合の基本の勘定科目
- 消耗品費:都度の少額購入で、福利厚生費になじまない支出の場合
- 雑費:他の勘定科目に当てはまらない少額の支出
迷ったときは、継続的・一律に支給しているかどうかで判断するとわかりやすいです。継続的な支給なら福利厚生費、単発の少額支出なら消耗品費で処理している企業が多く見られます。
熱中症対策におすすめの飲み物
熱中症対策としておすすめな飲み物は、以下のとおりです。
- スポーツドリンク
- 経口補水液
- ミネラルウォーター
- 麦茶などカフェインを含まないお茶
特にスポーツドリンクや経口補水液は塩分も補給できるため、熱中症対策として支給するには最適です。ただしスポーツドリンクは糖分も多いため、日常の水分補給にはミネラルウォーターや麦茶を、発汗量が多い作業時にはスポーツドリンク・経口補水液を、と使い分けるのがおすすめです。
コーヒーや緑茶などカフェインを含む飲み物は利尿作用があり水分補給の効率が落ちるため、熱中症対策としては優先度を下げましょう。
>>【関連記事】熱中症に冷たい飲み物は効果的?体温を下げる正しい飲み方と常温との使い分け
経費にならないケース・注意点
次のようなケースは経費として認められにくいため注意しましょう。
- 特定の役職者や個人だけを対象にした支給(従業員全体への公平性がないと福利厚生費と認められにくい)
- 社会通念を超える高額・高級な飲料の支給
- 私的な利用や持ち帰りが前提になっている支給
また、経費計上には領収書やレシートなどの証憑の保存が必須です。誰に・いつ・何のために支給したかがわかるよう、購入記録を残しておきましょう。
飲み物以外にも経費として認められるもの
飲み物以外にも経費として認められるものがいくつかあります。
代表して2つの種目についてみていきましょう。
冷却効果のあるアイテムの購入費
熱中症対策には冷却効果のあるアイテムの使用が効果的です。
そのため、熱中症対策として空調服の貸与や支給、保冷剤やネッククーラーなどの配布を行った場合も、経費として計上できます。
冷却効果のあるアイテムの支給は、従業員にとって非常にありがたく、安全・健康を考慮してくれていると感じられるはずです。
冷却効果のあるアイテムと飲み物をあわせて支給するのもよいでしょう。
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空調設備導入費用
工場や倉庫内、事務所などの熱中症対策として、エアコンやサーキュレーターの導入を検討している企業もあるかもしれません。
このような空調設備の導入費用も、熱中症対策を目的とするなら経費として計上可能です。10万円以上の設備投資になる場合は、原則として減価償却の対象になる点もあわせて覚えておきましょう。
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まとめ
熱中症対策の飲み物代は、従業員全体への一律支給かつ業務上必要な範囲であれば、福利厚生費として経費計上できます。勘定科目に迷ったときは支給の継続性で福利厚生費か消耗品費かを判断し、個人事業主の場合は従業員の有無で扱いが変わる点に注意しましょう。
熱中症を決して軽視せず、経費制度もうまく活用しながら、安全に業務を遂行できる環境を整えてあげてください。
